お気に入りの万年筆

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 お気に入りの万年筆、というのは大抵その時一番新しい万年筆で、新しいものを買う度にお気に入りが入れ替わっていました。はじめの頃はどんどん新しいものを買っていっていたので、お気に入りもどんどん変わっていったのですが、最近は購入欲も落ち着いていて、数ヶ月に一本のペースになっています。

 

 ですが、どうやら本当のお気に入りの万年筆、というものを見つけてしまったようです。

 アメリカのWahl-EversharpというメーカーのDECOBANDの限定版万年筆、Saffron Blueです。

 


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 セルロイド製の万年筆で、黄色と白、暗い色のマーブル模様でこの暗い色のところが日光に当たるととても鮮やかな紫になってとても美しいのです。

 ペン先はスーパーフレックスで柔らかく、長刀研ぎで書いたときの文字が筆で書いたようなメリハリのついた文字になります。インクは軸の紫に合わせて古典インクのKWZ IG Violet#3で、少し癖のあるインクですが、とても気に入っています。

 休日のカフェで窓際に座って、お日様を浴びながら手紙や日記を書くのがとても楽しい万年筆です。


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 この万年筆の気に入っているところでありながら同時に悩みの種になっているところがその大きさです。万年筆の世界ではオーバーサイズと言われる、長くて太い万年筆なのでケースがとても限られることと、持ち運びに於いても鞄の中で場所をとることがあります。この万年筆向けのケースもあるのですが、ふつうサイズの万年筆を一緒に入れると長さが足りなくてケースの中でフラフラとしてしまいます。場合によってはインクがキャップの中に飛び散っていて、書くときに手を汚してしまうのです。

 

 不満が全くない万年筆、完璧な万年筆というわけではありませんが、万年筆自体も書ける文字も、とてもお気に入りの万年筆であります。