プログレッシブロック

『ロックだのクラッシックだのは、しょせん、レコード会社と販売店が棚をわかりやすくするために貼り付けたラベルだ』というのは私の好きな本で登場人物であるところのオーケストラ指揮者が語った言葉ですが、この考え方は好きです。特に、プログレッシブロックというものは定義が非常にややこしいものとして知られているので、自分も好きな音楽を定義づけするのが難しいからという理由もあります。プログレッシブロックの創成期からフロントライナーとして知られているバンドのリーダーは、自身のバンドの音楽をプログレッシブロックと定義されることを嫌いますし、実際プログレ5大バンドと飛ばれているグループのそれぞれの代表作を聞き比べてみても、同じジャンルに分類するのは難しいようなものもあります。

このプログレッシブロックというのは人によって好き嫌いが激しいようです。私の敬愛する福岡のラジオパーソナリティである「ちん」こと田中淳氏は、プログレは好きではないと仰っています。ところが、氏の大好きだというラジオスターの悲劇で知られているイギリスのバグルスというグループは、このプログレッシブロックの強い影響下にあり、驚くべきことにヒット曲であるラジオスターの悲劇を世に出した後に、5大プログレッシブロックの中の一つ、Yesがボーカルとキーボードが抜けたときにそのままバグルスの二人が移籍してアルバムを出す、という偉業を成し遂げています。つまり、プログレッシブロックというのは本当に複雑なもので、評価が難しいものであるということがここからも分かると思います。

 

もちろん音楽ジャンルとして、ある程度の似た性質を持っていることは確かで、例えば、変拍子や転調が多い複雑な構成の曲を作る、超絶技巧派のプレイヤーの演奏するインスト部が長い、1曲10分はざらで20分も当たり前、メンバーの出入りが激しい、というようなことがよく言われています。メンバーの出入りの例を挙げると、活動期間が36年のバンドに在籍したメンバーは22名という、恐ろしく出入りの激しいバンドもあります。

 

こんなプログレですが、スタートは60年代末期にイギリスでスタートしています。その後ヨーロッパを中心にざまざまな展開をしていきますが、私が好きなのは基本的には本家イギリスの系図に連なるバンドが多いです。カナダやアメリカのバンドがあったり、北欧出身のバンドがあったりもしますが、最近発掘してお気に入りになったバンドもイギリスのグループです。フランスやイタリアのプログレも聞いたことはありますが、今ひとつしっくりきませんでした。

そのバンド、HAKENの中心人物が出したソロアルバム、Cocoonもお気に入りの一つでヘビロテ中ですが、30代のミュージシャンがちゃんとプログレしている良い例だと思うので、YouTubeのリンクを張っておきます。本人のアカウントなので、アルバムの曲全部を聞けますが、問題ないと思います。


Richard Henshall - "The Cocoon" (Full Album)

これを気に入ることが出来たら、ある程度のプログレは聞くことが出来ると思います。

5大バンドの定番曲だと、


Yes - Roundabout


Genesis - Watcher Of The Skies - Midnight Special - 20/12/1973

あたりが良いと思います。

YesのRoundaboutはアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』のエンディング曲として使われました。二つ目のGenesisで奇妙なコスチュームで歌っているのはピーター・ガブリエル、ドラムをたたいているのはフィル・コリンズで、両名ともソロとしても世界的なヒット曲を持つミュージシャンです。

この二つのバンドはまだ似通った音楽性を持っていると思いますが、ピンク・フロイドはサイケ色が強いですし、キング・クリムゾンはジャズ色が強く、Emerson, Lake & Palmerはクラシック曲を3人のバンドで演奏するようなグループです。

私は5大バンドであればどのバンドも好きですが、5つのうちのどれかは合わない、という方がいらっしゃっても驚きはしないです。

 

まあ、とにかく聞いて下さい、それしかないです。ハマると本当にどっぷり浸れますから。