天気の子

十数年来の新海誠ファンです。

劇場公開された最初の作品「ほしのこえ」がネットで話題になった時に、ほぼひとりでこれだけの作品が作れるのか、という技術そのものへの驚きと、作品そのものの面白さや込められた熱さにすっかりファンになってしまったわけです。

それから、なかなか近くの劇場で見られない状況が続いて、生で劇場で見ることが出来たのは「星を追う子ども」からです。どちらかと言えば、マニアで熱心なファンが支持する作品を作る、という人だったと思うのですが、「言の葉の庭」あたりで大衆受けしだしたように感じます。そして前作「君の名は。」で大ブレイクしたのは周知の通りでしょう。

昔からファンだった人間は、おらが村のヒーローがいつの間にか全国区になって手の届かない遠いところに行ってしまった感、というのを感じてしまって、なんとなく気持ちが冷めてしまったところもあって、さらに今回の「天気の子」の公開前後に映画映像を使ったCMを見てしまって、商売くせぇ、と思ってしまったのがきっかけで、なんとなく、もう良いのかなあ、と考えてしまいました。もう古いファンの一人くらい応援しなくても大丈夫だろう、と。

意固地になってしまうと、なかなかそういう頑なな気持ちは解れないものです。7月に公開されてから、気にはなりつつも見に行くことはなく3ヶ月が過ぎ、まあパッケージで出たときにで良いか、と思っていたのですが、何気なく映画館の上映スケジュールを見ていると「天気の子」が今月末で終わるというのに気付きました。

もう終わる、となるとなんとなくもったいないかも、という気持ちになりますし、何より熱いファンだった頃の、見たいのに見に行けないというもどかしい気持ちも思い出してしまい、休日出勤の振替の今日、見に行くことにしました。近場の映画ではもう朝の一回だけになっていて、最寄りの劇場では気付いた時点で始まっていたので、少し離れたイオンシネマを探して間に合うことを確認し、切符をオンラインでとって見に行くことにしました。

 

前回「君の名は。」を見て、新海さんの要素を全部ぶち込んだ上に結構冒険したなあ(主にギャグ方面で)と感じたのですが、今回は「君の名は。」を洗練させてきたなあ、と感じました。

主人公のモノローグの新海節は健在だし、あからさまだったギャグは程度をわきまえているし、前作のキャラはもろに出してくるし、賛否両論らしいエンディングも新海さんらしいなあと思いました。

まさに新海作品である、としか言えない作品でした。

 

声を当てている人たちも、俳優から選ぶことは昔からあったことだし、作品を撮りなく環境については未だに商売くせぇというところも感じなくもないけれど、作品そのものは新海さんの作品でした。

 

古いファンとして、老害的な物言いはしたくないからもう良いか、とも思ったわけですが、ちゃんと新海さんらしい作品になっているのなら文句はないわけで、これからもファンを続けていけるなあ、と思いました。

 

言の葉の庭」の舞台挨拶で徳島に来られたとき、新海さんの描く宇宙や機械がいっぱい出てくるSFがまた観たい、と伝えたのだけれど、見られるときが来るのかなあ。今回のカーチェイスも良いけれど、「ほしのこえ」の宇宙戦も十分スピーディーで好きなのだけれど…。

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天気の子